キョウは、はき捨てるように言う。
「もう一度言う。天界全員に伝えろ、俺はお前らの仲間でも何でもない。
俺はこちらの味方をする、前のようにはいかないとな」
キョウの目は限りなく冷たい目をしていた。
「戦争の始まりだ」
第十一話「三人の心」
シュウジ
「やっぱりあの事ですか・・・・でも」
ラファエルはそう言いかけたとき一筋の閃光がはしる。
キョウの手には日本刀を持っている。
日本刀の名は「草薙」五尺の大太刀で刀身が真紅のように赤い。
「ラファエル、お前の言いたいことはわかる。
でもこの先の言葉は聞きたくも無い。
さっさと帰れ」
キョウは殺気を出すのを止め刀を納める。
そしてシンジの歩いていった方に歩き出す。
「・・・キョウ・・・・・・ごめんなさい・・・」
ラファエルは小さく呟いた。
頬には一筋の涙があった。
=キョウ=
俺はあの時、友を失った。
あれが実験の最後の日となった出来事。
いつものように実験室に行くと其処には俺と同じ、実験体の人がいた。
「なぜここに奴らがいる!!!!!」
俺は実験室のカメラに向かって言い放つ。
「実験開始」
研究員は俺の答えも聞く耳持たず始まった。
そして人の首が飛んだ。
「やめろ〜〜〜〜!!!!!!!!!!」
俺は叫ぶ。
俺を包んでいた拘束具を壊し走る。
しかし天井から強化ガラスが降りて行く手を阻まれる。
「俺が実験になることで助けてくれるんじゃなかったのか!!!!」
「・・・・・・・・」
しかし返答が無い。
そして俺と同じ実験の道具となっていた親友が狙われている。
「ごめん、キョウ。
約束守れなかった・・・」
グシャ
親友のいた天井が落ちてきて親友は潰れた。
全員死んでしまった、俺のせいで・・・
「わあああああああああああ!!!!!!!!!!!」
俺はこの後どうなったのか良く覚えていない。
俺は広大な大地にいた。
でもこれだけはいえる。
この風景を見れば一目瞭然だった。
俺の周りには何も無くなっていた。
壁も、天井も、研究員も、何もかも・・・
俺が『ヒト』という壁を越えた瞬間だった。
友という犠牲のもとに・・・・俺は生き残った。
空を見るのが夢だったのに、これほど嫌に感じたことはなかった。
後から思うと、この行為で俺の自我を崩壊させる為だったのかもしれない。
しかし奴らもこの時、覚醒するとは思っても見なかったのだろう。
『神の子』に・・・
そんなことを思い出しながら、俺はラファエルと別れた後、シンイチを迎えにいった。
明日、天使達の事を話してもいいのだろうか・・・
まだ早いとは思うが、天使達が動いた時点で戦いは始まっている。
話さなくてはいけない事。
しかし本来ならば人間が知っていいことでは無い。
この世界、この時代を動かしているのは自分達ではなく天使達だという事を。
そして・・・
この世界は見捨てられたという事を・・・
=シンイチ=
僕がエヴァから降りると整備班の人たちが暖かく出迎えてくれた。
しかし僕の頭の中は別の事でいっぱいだった。
天使の干渉。
これは天使達が僕らの存在に気づいたという印。
思っていたより早く気づかれてしまった。
そして使徒のパワーアップ。
これからはもっと激しくなっていくだろう。
不安は尽きない。
そう考えていると、シンジから声がかかる。
「ありがとう」
シンジは突然のことに少し驚く。
前回、僕はこの時まだ心を他人に対し、開いていなかった。
シンジも変わってきているということか・・・
「シンイチ?」
シンジはどうやら僕が戦闘で何かあったのか、と思ったらしく心配そうに声をかけられる。
「何でもないよ」
僕は何事も無かったのように言う。
「そう」
シンジは安心したかのようにそういった。
僕とは確実に違う道を歩き始めたシンジ。
シンジはこれからどうするのだろう?
僕達はこれからのためにも、ここを離れるわけにはいかない。
まあ僕がこんなに考えても結局は、シンジ自身の問題だから考えても仕方ないか。
僕も結構変わったな・・・・・性格・・・・・
=シンジ=
僕は悩んでいる。
エヴァに関してはもう心に決めてある。
問題は母さん達に関して・・・
離れて暮らしていても血のつながりは、なかなか切れないと何処からか聞いた事があるが
それはあまり関係が無いんだ、という事に最近気づく。
そう思ったのはキョウ達と暮らし始めてから。
シンイチとキョウは血が繋がっていないし、顔立ちもまるで違うが本当の兄弟のように見える。
綾波って子と母さん達もまるで親子のようだ。
家族とは血の繋がりではなく、信頼関係だと僕は思った。
以前は血の繋がりだと思っていたが・・・
まるで父親、母親を思わせる雰囲気をだすキョウ。
僕のことを本当の家族のように扱ってくれるシンイチ。
二人と住んで、僕のコンプレックスともいえるものも直ってきた。
それにより以前ほど綾波に対して、モヤモヤも無くなった。
でも僕は両親を許せないのかもしれない。
時間は戻ってこない、だからやり直す事も出来ない。
よってもう一緒に住むことも無いだろう、一生。
僕の心はもう決まった。
両親は死んだ、僕の心の中で・・・・
そう思ったら随分軽くなった感じがする。
過去を振り返るのはもうやめよう、これからを生きていこう。
そう・・・決心した。
=キョウ=
シンイチが第4使徒シャムシェルを倒してから次の日。
司令室にはネルフ上層部の人間とシンジ、シンイチ、俺の三人がいる。
なぜシンジがいるか、というと話を聞いて欲しかった。
自分が我が侭なのは分かっている。
この話により、シンジはエヴァに乗るだろう。
俺って嫌な奴だな・・・・・・ホント。
「さあ、始めましょう」
リツコさんは早く始めたいそうだ。ナオコさんも同じく・・・
やっぱりマッドなのか?
「シンイチ君の遺伝子を調べたわ」
「で?わかったでしょう?」
「シンジ君のクローン?」
リツコさんは疑問を投げかけるように言った。
まあ確かにそうなるだろうな。
この世界のシンジにもしっかりと監視、護衛はついていたはずだし。
「不正解。まあ当たったらその人はちょっと頭おかしいですよ」
なんせ正解は未来から来た、だもんな・・・
こんなこという奴は、この世界ではアニメの見過ぎって奴だろう。
「じゃあなぜシンジ君とシンイチ君は、100%遺伝子が一致しているのよ」
思っていたより驚いていないな・・・面白くない。
シンジはやっぱり驚いているな、当然か。
いきなり自分の家族が、俺はお前のクローンだ、なんて言われたら俺だって驚くし・・・
「今日はそのことについてお話します。
でもこれはシンイチの口から話した方がいいので、シンイチ?」
「わかってる」
シンイチは俺の提案に賛成のようだ。
反対してもシンイチから話させるだろうけど・・・
「これから話すことは真実です。
現実から逃げないでください、いいですね?」
シンイチは皆に問う。
その問いに皆は頷く。
「僕は対になった世界から来た逆行者なんだ」
「「「「な!!!!」」」」
皆一同に驚く。まあ当然か。
「質問は後で」
俺は好奇心に満ちた目をしている赤木親子に釘を打つ。
「僕の前の世界での名前は碇シンジ。
サードチルドレンとしてエヴァに乗り生贄になった人間です。
僕の世界ではサードインパクトは起きました。
それはゼーレかネルフの補完計画のどちらでもない不完全なもの。
僕の世界ではユイさん、ナオコさんは生きておらず、碇司令はユイさんを失い会いたい一身に
サードインパクトを起こそうとした。
ゼーレも人類の進化を無理やりする、つまり単体として人間の不完全の心を補おうとした。
しかし結果は違った。
僕はLCLに解けずに生き残った。
誰もいない死の世界だったよ、そこは。
僕はそんな事にならないようにこの世界に来たんだ。未来を変えるために・・・」
シンイチはゆっくりと話していた。
それは強い悲しみに帯びている感じがするものだった。
しかしその中に強い意志が感じられる。
「「「「・・・・・・・・」」」」
皆は何も言わなかった。
いや、何も言えなかったというべきか・・・・
あまりにもショックな出来事だったのだろう。
もし自分だったら、とか考えているのだろうか。
シンイチは自分の事を弱いを言っていたが、決して弱いわけではない。
むしろ強靭な精神の持ち主だともいえる。
命を懸けた戦闘。
それは大人でも子供でも恐怖を感じてしまうものだ。
普通だったら第三使徒の後、逃げ出していただろう。
無理やり乗る状況を、作られていたとしてもだ。
そしてあの赤い海でも死のうとはするが、発狂はしなかった。
「細かい経緯はこの中に入っている。
後でじっくり見るといい。
それよりも問題はまだある、敵についてだ」
俺は皆に言い聞かす。
「敵はゼーレでは無いのかね?」
冬月副司令は俺に質問する。
「ゼーレが敵であることには変わりない。
しかし倒すべき敵は他にいる」
俺は静かにそういった。
「俺達の本当の敵は事実上この世界を見捨てた書物の中の人物達・・・
それは神の使いと呼ばれている人物"天使"。
こいつらが俺達の敵だ」
後書きのようなもの
何かこの頃文章少なくてごめんです。
次はもっと書きたいと思いますので・・・
真実を伝えられたネルフはどう動くのか!?
そしてシンジの決めたこれからの人生は!?
いったいどうなるのか?
次話も楽しみにしてくださ〜い!!